今、六本木の森美術館で行われている「会田誠展 天才でごめんなさい」を観た。

会田作品は日本古来の美術史の延長にあり、同時に現代を映す鏡だと思います。 一見、おバカアートのように見えるけど、政治や歴史的に鋭い批評性を含んでいる。
新宿ホームレスの段ボールが撤去されれば作品を作り、9.11のニューヨークでのテロを 観て、3.11の原発事故を見て、彼はすぐ作品を作る。現代美術作家(近年)はデザイン系 の作家(村上隆、奈良良智など)が多い中、“表現するアーティスト”として日本のアー ト界のトップにいる存在だと思う。
ただ、アニメや女子高生、エログロナンセンスをモチーフにした卑猥な作品が多いので、 当然、嫌いな人も多い。特に古い価値観で美術をくくる人は嫌悪感を持つに違いない。 でも、それが現代なんです。会田の持つ稚拙性も多義性も現代日本の縮図なんだから。
私は2001年の横浜トリエンナーレに会田作品を見たさに出かけたほどのファンで、 彼の5,000円する画集も持ってます。 ←ちょっち自慢? 2007年の上野展で大作を観て満足し、それで充分かと思ってたけど、あにはからんや、 森美術館に行って驚き、そのスケールの大きさはハンパないっス。←ムリに若者言葉を遣おうとしている
後にも先にも、これ以上の規模の個展はないでしょう。←断言 これを見ておけば、もう、会田誠の展覧会は一生見なくてもいいというくらいのもの。 大袈裟だけど、そのくらいの覚悟が必要だ。
会場には18禁コーナーがあるが、うっかりすると気付かなくて通り過ぎてしまうの で要注意。紫色のビニールの暖簾(のれん)が目印です。
ここには彼が世に出るきっかけとなった「巨大フジ隊員vsキングギドラ」がある。 これは葛飾北斎の「蛸と海女」をモチーフにした作品で、我々世代の細胞の源、ウルトラ マンと東宝怪獣をモチーフにし、しかも巨大セルにアニメ塗りで描かれている。 会田作品の多くは、東山魁夷、俵屋宗達、琳派等などの古典作品がベースにあるのも 特徴である。
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現代美術は一般的に第二次世界大戦後という考えがあるが、社会の急変、急速な成長、 資本主義社会からレディーメイド(この言葉懐かしい)人々の生活の急変がある。 日本においては偶然、昭和と平成で時代が分けられるので、そろそろ過去の作品と区別して もいいのではないだろうか。1960年生まれから現代までを“現代美術”とし、それ以前 の戦後から昭和のは“準現代”とか。レンタルビデオ店で“新作”と“準新作”と分ける ように。もう、ひとくくりにできないでしょ。
会田誠展は、美術を勉強している若い世代にぜひ見てほしい。 そして脳天をかち割られて血を吐き出して倒れればイイ。その価値はあると思う。
美術を勉強する人には必須科目でしょ。 行くべし
うーん、あまりにも好きすぎて考えがまとまらない。
 会田 誠《考えない人》
 この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。
上の写真「おにぎり仮面」は嫌いだけど、唯一、写真撮影がゆるされていたので 仕方なく撮影した。会田自身はこのキャラクターをもっと売り出したいと思っているそうだ。
「会田誠展 天才でごめんなさい」 2012年11月17日(土)-2013年3月31日(日) 六本木、森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階) http://www.mori.art.museum/contents/aidamakoto_main/index.html
きしょう
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