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映蔵
横浜で活動する記録・広報映像制作会社日映科学映画製作所の作品紹介や、社の周り・横浜情報の発信など。
映画『ヨコハマメリー』
その昔、横浜の伊勢佐木町や馬車道に、フリルのついた白い日傘に純白の
ドレスをまとい、顔におしろいを塗った全身白づくめの女性が出没していたの
をご存知だろうか。

彼女の名はメリーさん。
名前を知らない人は「皇后陛下」や「きんきらさん」とか「ギンギツネ」と呼ぶ
人もいた。

私も子供の頃、イセザキモールで初めて目撃した時は全身が凍り付くような
衝撃を受けた。見てはいけない人を見たようで、気味悪くてとても近づけな
かった。彼女は戦後すぐ、アメリカ将校を相手に外国人相手の娼婦
(パンパン)を続けて生活していたのである。私より年配で横浜育ちの方は
ほとんど知ってるだろうけど、それ以外の地域の人はまったく知らないと思う。

そんなヨコハマメリーを追ったドキュメンタリーを伊勢佐木町の映画館
『ジャック&ベティー』に観に行った。

mery1.jpg

映画は、メリーさんの姿を見かけなくなった頃からはじまり、彼女と親交の
あった方々を取材し、彼女の足跡を追う作品だ。

先にバラすけど、ラストで老人ホームで静かに余生を過ごすメリーさんご本人
を見つけることになる。彼女の穏やかな笑顔に心を打たれ、私は涙が
あふれて止まらなかった。(ToT)

たまにはじっくりドキュメンタリー映画を観るのもいいもんだ。
この作品を撮ろうと決意し、9年の歳月をかけて完成させた30代後半の
中村監督に拍手を送りたい。


 採点 85点。


 * * * 以下、ネタバレあり * * *

mery2.jpg

メリーさんを追ったドキュメンタリーではあるが、実質的には、彼女を支えた
シャンソン歌手・永登元次郎氏の人生との2部構成になっている。

私はメリーさんのことをほとんど知らなかったけど、本作のおかげで様々な
ことを知ることができた。彼女は住まいが無くて伊勢佐木町のあるビルの
廊下にイスを並べて毎晩そこで寝て、朝になると近所のクリーニング店の
洗面台で化粧をして街へ出たそうだ。

住まいがないため衣装と全財産を入れた大きなボストンバッグを常に
持ち歩き、白い日傘をさして街角に立つ。

周りから気味悪がられて白い目で見られながらも彼女は威厳を持って
生涯娼婦を貫き通した。最後は出身地の山口県の田舎に戻って
老人ホームで余生を過ごす。

せっかく老人ホームで余生を暮らすメリーさんと出会えたので、彼女のインタビュー
があるかと思ったら、 なかった。

だから、メリーさんがどういうことを考え、どういう事情からあんな格好をしていた
のか全く明かされないで終わる。そこが私としてはマイナス点に思えた。

 がしかし・・・、

よくよく考えてみると、テレビのワイドショーの様に彼女にマイクを突き付けて
「どんな気持ちだったのですか」
「人生を振り返って何を思いますか?」
なんてゲスな質問攻めを見せられてもどうかと考えてしまう。

むしろ今の作品の様に、老人ホームで静かに過ごすメリーさんの姿が垣
間見られただけでいいのではないだろうか。そのままそっとしておくのも
あるかもしれない。

調べてみると、この作品は2006年に完成するが、メリーさんはその完成を
待たずして一年前に亡くなられたそうだ。

ラストで一瞬、見せた彼女の笑顔がすべてを浄化させてくれた。

彼女は横浜の幻だったのではないだろうか。

きしょう
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